PactumとFaustus

Pactum – What the 十 is About, 2011, Misako OBA. PACTUM/FAUSTUS シリーズより。( 英国スマイソン(SMYTHSON)カスタムメイド便箋にOBA本人の肉筆(米国 個人蔵)。+1 アーティスト・プルーフとエディションプリント。(署名部分は異なる)
レター文の和訳は後ほどここに。
「 写真は人に見せて初めて完結する。」

私がまだ駆け出しの写真家だった頃、 国際的なフォトエージェントG.I.P.の、今は亡き倉持吾郎さんがおっしゃっていたこの言葉を思い出す。これは写真だけでなく、「 “作品”は人に見せて初めて完結する。」ともいえる。それは創る人、書く人、また受け取る側にとって、さまざまな意味にとれ、深い意味がある。

私は実はめっちゃ内向的な面があり、もくもくと創造・制作等をすることは得意で好きだが、積極的に発表すること、人に見せること、販売・プロモーションのようなことが長年ずっと苦手である。そのため、時にこの言葉を思い出し自分を戒めつつ、不器用に実行しているいる😅。(とは言ってもなかなか実現できていなくて、発表していない・できていない作品や各コンセプトが山ほどあり、よく自分を責めている💦)

風間暁 著の『「回復」という毒』(日本評論社) の表紙装画に

そんな中で、もう10年ほど前に、日本の写真出版社蒼穹舎から出版された、私のPACTUM、FAUSTUS, T.M.A.P.という関連シリーズの膨大な写真作品から選んでまとめたファインアート写真集『FAUSTUS』(ファウストス:テキスト日本語・英語)がきっかけとなり、このたび 、その中の「Pactum #105(パクトゥム 105)」という写真作品が、日本評論社から本日(2026年9月2日)出版の風間暁 著の一般書籍『「回復」という毒』(日本評論社刊) という意味深長で趣深いタイトルの装画(表紙)となって再び息吹いた。(画像は下記)

ちなみにこの写真作品のタイトルにもなっているPactumは、ラテン語で「契約」という意味がある。Faustusには「祝福された」という意味がある

表紙に採用された Pactumというタイトルの写真作品もこのFAUSTUS(ファウストス)の中の「PACTUM」シリーズの中の1点。シリーズには、ゲーテの戯曲『ファウスト』が悪魔と血で契約したのに対し、私は「天使と契約」したという、暗闇の中で感情のジャーニー、紆余曲折を経ながらも肯定的な思考と選択をしていくコンセプトも含まれている。

膨大にあるこれらの”作品群”は、元々、仕事の作品とは別にプライベートとして描いたり撮影したりしたもので、誰にも発表する予定はなかった作品群が、最終的に(当時、一緒に仕事をしていた画廊の説得やロサンゼルスの美術館キュレーターからの言葉などによって)、公表する覚悟を決めたものだ。画廊のディレクターとの会話、アートフェアや展覧会を重ねるうちに、自分の持つ人々に向けたメッセージもさらに明確になり、コンセプト確立を経て、芸術プロジェクトとして展示や作品集、トークイベント等へと導かれたという経緯がある。

日本で編集、出版されたバージョン作品集『FAUSTUS』(ファウストス)は、作った当初、編集者から、これは普遍的なもので流行りすたりがない内容のものと言われた。たぶんそれは、私のテーマが、世の中の不条理な出来事、喪失、失望・絶望的な状況や感情に直面したとき、人生をどうとらえるかを、実際の出来事とアート写真を使って、問いを投げかけたものだからだと思う。物事の見方や思考の転換、気づきや楽観、行動、美の再定義、人との関係性や使命・愛などによって、変容・昇華させていくプロセスと、回復・レジリアンス、希望というテーマ、つまり人間が思い悩むテーマの普遍的なものに関して、私自身はそのとき真理を得て自分なりの結論は出たが、果たしてあなた(見た人・読んだ人)はどうななのか。写真と一部文字を使って視覚的かつ準抽象的に表現し、見る人に考えてもらうことを誘っている作品群である。

表紙のお話をいただいた時、書籍の内容をお聞きし、全く無関係ではなさそうということもうれしかった。

『FAUSTUS』の中のビジュアル的なイメージが、当時写真集を購入してくれていた東京のひとりのデザイナー((株)オクターヴの木庭貴信さん) の頭に残っていたようで、今回、

「『「回復」という毒』の原稿読んでいたとき、FAUSTUSのことを思い出し、もう他のイメージが沸かなくなってしまいました⋯。」

と、このたび表紙への使用を希望してくださった。新たな驚きと感動と、もちろん、とてもうれしく、多大な感謝を感じせずにはいられません🙏。

そういうわけで突然、日本評論社の編集の方から連絡をいただき、その見えない縁とつながりに非常に驚くとともに、 今回や過去の関わったすべての人に、感謝の気持ちがあふれてきます。Thank you so much!

こういったことはホント、アーティスト冥利に尽きます🙇💖。

木庭さんは数多くの書籍や雑誌、映画のデザインをしているベテランで売れっ子のデザイナーさん。これを機にインスタでもつながってみました。

そしてこれが縁で、著者の風間暁さん(!) を知り、彼女の活動・活躍や、この新しい一般書籍、風間暁さんの書籍作品『「回復」という毒』とつながることができた。インスタなども拝見し、エネルギーもすごいと圧倒・感動しました。

そしてさすが日本評論社さん、社会派のノンフィクションがもとになった内容で中身はもちろん、素晴らしいデザインのおかげで、 Pactumを使った表紙も美しく仕上がり、 著者の風間さんも喜んでくれているようで、 私としてもとてもうれしい!
書籍はきっと数多くの人々の心に触れるであろう。私も、早速届いた本を、楽しみに拝読させていただこうと思う。自分の経験から生まれた作品を世に出すという意味で、共通点もあり、しかもある意味ネガティブな体験を社会のために役立てたり、自身の視点や切り口で良いもの・ポジティブなもの(書籍、作品、活動、その他人間関係を含む様々なもの)に昇華・変容させている点や、世に対してのメッセージを、恐れず発表していくと言う点では非常に共通項があると思った。

FAUSTUS/ PACTUMシリーズの一部展示風景。30cm前後の作品から 101.6cm x 76.2cm(40×30インチ)のグラスマウントしたLambda c-print (ラムダプリント)・エディション5、ダイボンドマウント、各1点ものの蜜蝋と写真の作品など。(ニューヨーク)

実はアメリカでは、日本での『FAUSTUS』写真集出版以前に、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなどでのアートフェア・展覧会だけでなく、関連の写真集も3冊ほど作ったのだが、(ニューヨークでは昨年2025年の半回顧展のような個展でもこの過去のシリーズからも数点展示したが)、そういえば日本国内ではこの全く展示発表もしていない。インスタなども私が始めたのはコロナ以降なので、それより前の作品はSNSでもウェブサイトでも発表していないものもあり、現地での展示以外、ひっそり隠れているような状態だ。

このPACTUM/FAUSTUM (パクトゥム/ファウストス)の一連のシリーズは、写真作品シリーズやアート作品のシリーズの中で、(特に作風としても)実は私にとって例外的な作品シリーズなのだが、いずれにしても、メッセージ性のある作品群なので、今後、できれば、ゆるりと、そのメッセージなども含めて紹介していこうかなと思っている。同シリーズ内外のモノクロの手焼きビンテージ写真なども含めて😉。

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